日記

日記です

20210713

 午前中は生活に関する手続きのために地元に戻るなど。午後からは普通に労働したが、午前中の用事が思ったよりも長くかかって開始が遅れてしまった。

読書

 生活の雑事で精神的に落ち込んでしまったので、好きな小説を手に取ることで回復を図った。

 何度読んでも心地よい。これを文体と呼称するべきなのかはよくわからないが、河野裕作品の雰囲気が好きだなと思う。世界に悲しいことがあることは了解しつつ、それでも嬉しいことを大事にしながら、理想的ではない世界に対して穏やかに抵抗をしていく精神性が僕の目指す一つの姿である。

 穏やかな抵抗と対置される形で、過激な解決案を象徴するキャラクターを登場させて、それとバトルする。描き方としてもこれが好きなもので、どうしても僕の虚構原体験として、村瀬陽香の姿にカノン・ヒルベルトを重ねてしまう。こういうキャラクターが魅力的に張りつめれば張りつめるほど、鮮やかな形で戦闘を制し緊張の糸を緩めてやる主人公の立ち振舞が光る。鳴海歩と浅井ケイ、立ち位置あるいは立ち方が似ていると言って大きな間違いもあるまい。

 ちょっと別の方向に目を向けると、春埼美空の愛らしさが記憶よりもすごかった。過去編の印象が強かったけれど、こんなにヒロインヒロインしていたか。盲目的ではあるのに芯はあるというような絶妙のバランス感は、僕もそれなりに現代小説を読んできた方だと思うけど、なかなか巡り会えるものではない。

 これらのキャラクターが、「写実的」という意味でのリアリティがあるとは思わない一方で、なにかしらの意味での強度は備えているとも感じる。現実に近いというのとは違うし、雑に空想的な虚構存在だからというのともまた違う魅力。僕はここに何か重要なものを嗅ぎ取っていたりする。さて、それはなんだろうか。