日記

日記です

20191022

 研究室には行ったが、うーん、そこまで進んだという感じもしない。やはり進むべき方向性がいまいち見えてきていないなぁ。何が問題になっているのか、言語化が足りていないか。

雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール

雛口依子(ひなぐちよりこ)の最低な落下とやけくそキャノンボール

 んー、なんだろう。悪くないんだけどどこかなぁという気持ちもしてしまう。単に僕がエロ・グロ・バイオレンスが苦手というだけのことかもしれないが。あるいは運命的なものに対する見方が、僕はそこまで悪意に溢れたものではないという違いは大きかったか。運命対抵抗する意思みたいな対立構造にはしたくないんだよな。

 しかしやっぱり謎を仕掛けつつ物語が動いていくっていう構造は好きだな。ミステリである必要はないんだけど、あからさまにでも「隠された情報があります!」ということを提示しつつ進行されるとどうしてもワクワクしてしまうところはあるね。

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

向日葵の咲かない夏 (新潮文庫)

 おー、面白かった。最初は「ん、倒叙?」とか思ったけどそこからツイストに次ぐツイストで綺麗に着地していくとは。普段こういうの否定してそうじゃんとか言われそうだけど、いやそのトリック要素的な話ではなくて、それが作品全体に与える影響部分がどうかという話がしたいのであって、その意味でこの作品では効果的だったような気がする。でも冷静に考えると単に僕がこういう気の狂い方が好きなだけでテーマ的にすごいかというとそうでもないかもしれない。なんでもかんでも好み、好みでしかない。

その他

 他人の生き方をできるだけ目に入れたくない。周りのやり方さえ見なければ、僕は僕のことを幸福だと言い張ることができるのではないか。少なくとも不幸からは遠いと言えるだろう。本当に、できるだけ他人という概念から遠ざかった生活をしたい。

20191021

 月曜日は中途半端な時間に講義があってなかなか集中した時間が取れない。今日は王将リーグもあったし作業はあまり進まなかったな。

小説

 昨日観た『イヴの時間』が良かったのでなんかアンドロイドものを読みたいなという気持ちになったので。そういうので真っ先に思いつくのはフィリップ・K・ディックの『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』だけど、それは結構最近読んだからとりあえず後回しで、そういえば森博嗣もそういうの書いていたなぁということを思い出したのでこれ。3年ぶりくらいの2回目らしい。

 やっぱりいくらか森博嗣の作風は淡白すぎるなぁと感じてしまうところで、もっとわかりやすいツイストとエモが欲しくなってしまう。まぁこの穏やかな落ち着いた雰囲気もそこそこ好きではあるんだけど。続き読んでいくか微妙なライン。もう少しは読んでみようかなぁ。

 アンドロイドがここまで人間に近づいてしまうとやや興味を失ってしまう。僕はやっぱり人間に対していくらか否定的だし、反対にキャラクターには肯定的で、アンドロイドにはキャラクター的であってほしいと思う。キャラクター的であることを正確に言語化することは難しいけど、「目的にかなった合理性」というのは一つ大きな要素だと考えている。所与の目的があり、それに対して合理的な振る舞いをする結果としての美しさは、人間にはなかなか出し切れないものだと思う(部分的に僕はプロスポーツ選手などにはそれを見出しているが)。『イヴの時間』を観て、そういう振る舞いを持つ存在者としてのアンドロイドに僕はすごく可能性を感じたし、作劇パーツとしてかなり都合が良さそうだとも思った。そのあたりをミステリ的手法と混ぜ合わせて華麗に描いてくれる作品がこの世にはいくらか絶対に存在しているだろうという確信もあるので、今後うまく探せていけたらなぁと思うところ。

20191020

 昼過ぎに研究室へ行ったけどあまり進まなかった。早めに帰ってアニメを観るなど。

アニメ

 7話まで観て、好みの方の展開にはならなそうだなと判断して視聴を止めた。視聴しながらメモを残していたんだけど、見返してみると途中から「うーん、キャラクターの動かし方が……」という内容ばかりで笑うしかない。

 キャラクターの動かし方があまり好きではなかった。非写実的なことが気になるというより、非写実的なやり方の中での好みの違いという印象。きっちり理屈付けられるかは不明だが、アニメっぽいやり口ではあると思う(動きや場面転換が多いので!)。やっぱ場面を転換せず延々と話させるみたいなことはアニメではやりにくいんだろうな。

 どこを観ていても「ここからどうやってツイスト決めるんだろう」とか考えてしまう。話を動かすのが速く、「そこに仕掛け置いておきそう」というところをどんどんオープンにしている感覚がある。溜めとして使いそうなところを全然溜めないというか。そして結論が見えないので話を動かしていくべき方向が見えない。

 やっぱり新しい視点、面白い考え方みたいなのがあまり出てこなかったというのが一番きつかったところかもしれない。まぁこの「新しい」とか「面白い」という言い方は欺瞞で、要するに僕に近い思想が出てこなかったということだと思う。結局僕が求めているのはエコーチェンバーなんだよな。自分の気に入る思想を作品の中に見出したいだけで、そういう心地よさしか求めていないということなんだろう。

 すごい。ものすごく好みな話だった。最後の話では一つの完成形を見た。これが僕の考えていた一つの物語として研ぎ澄まされた形なのだ。いろいろなことが頭の中で繋がった。なるほど……。そうか。ルールの束としてのキャラクター。それとアンドロイド。素晴らしいなぁ。ものすごく可能性を感じた。ロボット三原則自体はあれなんだけど当然これも創作だからそういう使われ方をするわけで、それが最近考えていた行動原理を利用した仕掛けで、完璧なんだ。そうか、アンドロイドもの本質的にありだなぁ。

 そして、あー! 「人工知能は人間を超えるか」って本の帯、あれってこのイヴの時間のキャラクターだったのか! あー! なんてことだ! なんてことだ! 僕もその本に影響を受けてないなんてことは言えない。びっくりしたことに、読書メーターの記録を見てみたら僕はその本を2015/3/11、2015/5/12、2015/11/3の3回も読んでいた。わかるか? 4年前、つまりそれは僕が情報工学科に編入することを決めた年で、読んだタイミングから見てもかなり決断に影響を与えたことは明々白々。そうか、そしてそれはここに繋がったりもするのか。

 なんか、嬉しいな。問題意識がちゃんと繋がっていたというか、過去の僕との連続性を感じたというか。最近少し研究に対して「こんなことして何になるんだろう」というような迷いを感じていたんだけど、ひょっとしたら間違ってないんじゃないかという気分に少しなった。もちろんこの本だけの影響ではなくて、どちらかといえば電王戦FINAL(2015/3,4)の方が根本的な影響としては大きくて、今コンピュータ将棋をやっているような形になっているわけだけど、そこでできるだけ汎用的な強化学習にまつわる方向に行っていることはきっと間違いではなくて、それがきっと僕の本質的な問題意識に絡んでいるんだ。なんだかものすごく救われた気分になった。成果の出ない日々は苦しいんだけど、もう少しやっていこうと思えた。

20191019

 今日は研究室が使えないらしかったので引きこもる日に。しかし特に午後は小説を読む気分にもならなかったのでやや時間を持て余し気味だった。

小説

人ノ町 (新潮文庫nex)

人ノ町 (新潮文庫nex)

 全く予備知識を入れないままに読み始めたんだけど、少しSFよりの設定で旅するやつというやや定番と言えば定番という気がするやつ。普段あまりこういうジャンルは読まない方だがこれはなかなか面白かった。ある意味で信仰と意思決定の話だったからかな。行動原理を作る上で結局どこかに信仰的なものが必要になるのではないかと思っていて、その範囲が土着であるか全世界的であるかはどっちでも良いんだけど、そういうところに根拠を持ってこないと何もできない気がしている。しかし僕は旅人にはなれない。

 詠坂雄二の作品としては『君待秋ラは透きとおる』に続けての2作目。先の作品から受けた印象からするとやや意外な雰囲気の作品ではあった。まだ作風の核も見えてこない段階ではあるけど、結構好みかもしれないな。

アニメ

 かなり流し見で全部観たけど、うーん、なんかもっと面白くしようはあるんじゃないかなという気もする感じの。しかしこの手の話をアニメでやろうとするのはやっぱりしんどいとは思うんだよな。伏線を張る具合とかが。

 映画館でも観たことあるので2回目。むしろ本編の方をあまりちゃんとは観ていない……。

 この物語的な起伏は薄い話を1時間以上かけて描写するの気合入ってるなーという感じ。そういった映像的な良さを褒めるのは僕にはできないことなので違う人に任せたいが、なんというかそういうのもありなんだよなという気分にはなる。僕はどうしてもトリックとかプロットのツイストとか、あるいは透徹した思考とかを作品の本筋として見出したがる傾向にあるけど、そうではない作りっていうのもあるのはその通りなんだ。

 Amazon Prime Videoのラインナップを眺めていても、僕は実写映画とかドラマを観れる気がしない。人間の身体が嫌い。現実性が嫌い。物語が好き。キャラクターが好き。とか思っていたら次の作品にぶち当たった。

 やべー! これやばいな。AtCoder Beginner Contestの前だったのでまだ1話だけしか観れてないけど、本当の直球でここテーマにしにくるのか、という感じ。いやそういう作品は別にたくさんあるとは思うんだけど、僕にとって(しかもアニメで)出会うのは初めてに近くて、結構な衝撃がある。わりときついシーンもあって途中一時停止しながらでないと観れなかったが、なんとか追いかけてみたい。

 しかしどうかなぁ、結局そこを主題にして面白くできるのかどうかっていうところが個人的には気になるというか。僕はあまりできないと思ってしまうんだけど、これで華麗にやられたら平伏するしかない。1話の手触りはまぁ悪くないという感じ。できるだけキャラクターの思考が内側へ向かっていく感じであってほしいなという気はするが、外部のキャラクターを動かしていくことで話を駆動させることも容易なテーマなのでそこでどっちを向くかという分岐点はありそう。まぁしかし期待はしてしまうな。続きが楽しみというのは久しぶりな感覚だ。

 岡田麿里って何書いている人だっけってちょっと調べたら、

あたりがでてきて、あーこの面白そうででも僕が苦手そうなラインのそれじゃんみたいなラインナップだなぁと思った。実際観たことあるのは『心が叫びたがってるんだ。』だけで、それはまぁそんなに悪くないとは思ったんだけどめちゃくちゃ好印象でもない。信頼感も不信感もないという感じで、さてどうなるか。

20191018

 気分が晴れない。今日は全体ミーティングで強化学習の「探索と知識利用のトレードオフ」の話をして、俺らの人生ってもうこの歳になったら探索なんてしないで今の自分の価値観での幸福最大化を目指してしまうよなって話になった。基本的に専門用語を濫用した人生語りみたいなのは好きではないんだけど、こと上の概念に関してはかなりそうだよなという実感がある。自分の保守性がそんなに好きなわけではない。仕方のないことなのかもしれないが。

 わりと綺麗に実装できて手応えあった実験が全然良い結果にならなくてやや落ち込んでしまった。研究なんて上手くいかないことがほとんどだとは思っているけど、そう思っているからといって精神が強靭になるわけでもなく。

 成果の最大化を目指すなら精神の浮き沈みをなくすためにも一日のうちに意識的に趣味に充てる時間を取った方が良いような気がする。別に成果の最大化なんて目指していないのでそれを実行しようとは思わないが。

 んー、なんかダメですね。全然ダメという気持ち。気分が晴れない。

20191017

 業務。こっちでの学習は時間がかかるので厳しい。微妙にいくらか暇になってしまいがちで、そういう時間を有効活用できれば良いのだが。

 そしてやはり大渡さんは問題の見え方がすごい。ある意味で知識だろうし、ある意味では問題を考えている時間の長さなんだろうな。そういうところに追いついていけるようになりたいが。

小説

 いつの間にか電子化されていたのでかなり久しぶりに読んだ。記録によると7年ぶりらしい。読書メーターに登録してすぐあたりに読んだんだなぁ。

 まぁ面白いけど僕はやっぱりヴィークルエンドの方が好きだなぁと思う。『1/1,000,000,000のキス』における飛躍っぷりにどこまでついていけるかが肝なところだと思っていて、僕は半分くらいついていけるし半分くらいはおいおいという気持ちになる。というか落とし所がやっぱり"良い話"だしなぁというところも。

 しかし読書メーターの登録数は『紫色のクオリア』が4121で『ヴィークルエンド』が703ということで、それはひどい差がついている。まぁ百合SFというジャンルが根本的に強いものな。他の作品の登録数も見ていたらヴィークルエンド悪魔のミカタ1巻より登録数が多いことに気づいて意外だった。そしてジャストボイルド・オ'クロックが出てきすらしないの笑う。あんまり記憶に残ってないけどそんな絶望的につまらない作品ではなかったと思うんだが。やっぱり単巻もののライトノベルって結構立場がつらそうに見えて(売れ行き的に)、それは悲しいことだなぁと思う。うえお久光ももう長いこと新作が出ていないので今後ほとんど期待はできないんだろう。嗚呼。

20191016

 季節の変わり目は寝るときの気温管理をどうすればいいかわからなくて、暑すぎたり寒すぎたりする結果上手く眠れなくなりがち。鏡を見ると目の下が黒くなっていて、これが隈というものかと感嘆した。

 研究は教師あり学習でデータをリークさせていたことに気づいた。これは昨日の業務中のミーティングで近いことを指摘されて気づいたもので、自分だけではずっと間違っていたままだっただろう。業務では自分にばかり利益があり、一切貢献できない搾取してばかりだ。

 しかし間違っていた部分を修正しても良い結果は出ない。むしろ都合の悪い結果になったとすら言える。根本的にアイデアが悪いのかなぁという気分になってきた。筋が悪かったか。

 いろいろ考えつつ帰宅したら定期券がないことに気づいた。おそらく研究室に忘れてきたと思われるが、違うどこかに落としてきた可能性もあった。明日は会社に行く日なので、疲れた身体を引きずってまた研究室に戻る。最近は外を歩くのがつらい。他人の姿が目に入るたびに、この人も自分とは違う価値観で生きているのだということが意識される。特に忘れ物を取りに行くだめだけの無為な道中ではなおさらだった。

 研究室になければもう探す元気もない。定期券カバーの中には学生証も一緒に入れてある。見つからなければ再発行などの手続きが必要になって、ここのところの僕にそんな元気は残されていない。研究室の自席になければ、僕はもうそこから一歩も動けないんじゃないかと思った。そしてそうなることを望んでいるところもあった。

 定期券は自席の引き出しの中にあった。

 2回目の帰り道ではずっと「もう諦めたい」と思っていた。なにを諦めたいのかは自分でもよくわからない。むしろ、今何か諦めていないことがあるのだろうか? いや、それは確かにあるのだ。叶わない希望が、負けの目しか残っていない戦いが。

 早く楽になりたい。今日は大変きつかった。