日記

日記です

20190716

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)

丸太町ルヴォワール (講談社文庫)

 円居挽天才過ぎないか!? やばすぎでしょ。興奮した。かなり間隔開けたとはいえ2回目の読みでここまで来るってそうそうない。シャーロックノートもあぁ面白いなとは思ったけどこれは格が違うでしょ。最後のドライブ感炸裂しすぎ。オチもおしゃれだし満点でしょ。痺れた。これ完全に自分の中でオールタイムベスト10入る。こういうのに出会うために読書しているんだよなってなった。いやーこういうありえんほどかっこつけるタイプの作品明らかに好きだ。

 ちらりと読書メーター覗いて、想像はしていたけどこれが合わないという人もそれなりに居るんだなと思った。僕はやっぱり僕の感想を信じるしかないし、その意味で1回目読んだときの感想が読めなくなっているのはとんでもないミスだと痛感した。絶対アカウント消すべきじゃなかったのに。この世で最も自分に近い感性を持った人間の感想が読めないとは。

烏丸ルヴォワール (講談社文庫)

烏丸ルヴォワール (講談社文庫)

 面白いんだけどやっぱり1作目と比べるとどうしても劣ってしまうかなと感じる。動かす幅にどうしても制約が出てしまうものなぁ。3作目以降も出ているのにここで買うのやめてるのが恐ろしいところで、以前の僕もたぶん同じ印象を受けていたんだろう。

 推理ショー的ななにか、説得性的ななにかを好むというなら、それと衆愚的なものの関係についてある程度の回答ができるようになっていないといけないんじゃないかとふと思った。嫌いな政治とか人気取りとどう違うのか説明できないと。本当の意味で「多数派の支持を集めたい」だけなら知略的な要素というのはあまり必要なさそうに思えるんだよな(これは僕が大衆を馬鹿にしすぎているのかもしれないが)。ただ「十分に合理性を持つ観客が〜」みたいな定義の仕方はあまり上手くいくとは思えない。僕(読者)が「観客の大多数が納得しそうだな」と納得できることが重要なのかな。単に「知略バトルものが好き」という方向へ転換してしまうのもありだと思う。むしろ有力かもしれない。

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

私が大好きな小説家を殺すまで (メディアワークス文庫)

 予告された通りに破滅がやってきて、やはりどちらも救われない。この手の話も嫌いなわけではないけどめちゃくちゃ好む方でもない。

 最初の短編だけは読んだことがあって、それだけでももう大変に泣いた記憶があるんだけど、全部読んでみるとまぁこれがまたすごいんだ。再三言っているように僕は泣けるというだけで作品を評価したくはないし、むしろ反発すらしてしまうようなところがあるんだけど、これはやっぱり良い作品だと思う。

 やっぱり最初の短編が一番好きだ。後は、必然的に最後の。それはあまりにも「都合が良い」話なんじゃないかと思ってしまうけど、その「都合が良さ」もわかった上でそれでも真面目にやってしまえるのが河野裕の良いところなんだろうなと思う。その世界観は優しすぎて、性格のねじ曲がった僕には眩しすぎるくらいなんだけど、これがギリギリのところで説教臭くなることを回避できているのは、本当に得難く素晴らしいことだと思う。あー河野裕、信頼できる作家だ。

 にしても僕の見方がずいぶん悲観的になっているんじゃないかと指摘されている気分になってやや落ち込む。そんなつもりじゃあ、なかったんだけどなぁ。手に入らないものを嫌わずにいるのは難しいということなのだろうか。しかし、たとえ実現ができないようなものであったとしても、理想の姿を忘れたくはないとは思っているはずなんだ。

その他

 良い作品を読んだ後、自分の生活・現実に引き戻される感覚が気持ち悪すぎてさらに違う本へ手を出すしかなくなる。きつい。