小説
- 作者: 深水黎一郎
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2014/02/21
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (5件) を見る
表題作はそこそこだったけど他はあんまりだったかな。深水黎一郎、もっとひねりにひねってくる印象だったが。
気分はFA権を取得した選手のそれである。とりあえず今所属しているところからどういうオファーを頂けるのかを見て、そこから他を探すのかを考えるつもり。新卒といっても年齢的にはかなりいっているわけだしドラフトという感じではないなぁ。まぁ実際のところFA権を取得した選手ほど能力も実績もあるわけじゃないのでもっと謙虚にいかねばな。なんかここ数日尊大なことを言い過ぎている気がする。自虐的なのは好きじゃないのでなんか逆側に振れてしまうことがときどきあるのが悪いところ。
当該の小説を読んでいないので言いにくいけど、「愛に時間を」というタイトルがとても良いと感じる。愛というのは時間概念と切り離された状態では存在できないのではないかと思っている。愛の一つのイメージは、その対象について何度も時間をかけて考えるということである。それは時間というのが人間にとって有限なリソースだからで、つまり愛は排他性、独占性と分かちがたく結びついているということなのかなとか考えつつ。
最近はなにか「統計的にはこういう傾向にある、こういう性質がある」みたいな当てはめ方(統計的合理性)を超えて、個別に目を向けてそこへ対してだけ成り立つ最適な振る舞いというものに良さを感じたりする。しかしやはりそういうパーソナライズももっとIT分野、人工知能分野が得意とするものでなければおかしいな。局所的な最適化にはやっぱり脳内シミュレーション的な仕組みが重要だと今のところ考えているので、自分の今の研究テーマもそういうところが動機の源泉なんだろうなぁと思う。
ものすごい人工知能ができたとして、一緒に何がしたいかっていうと哲学な気がする。あるいは哲学的対話。今だって「哲学者の名言bot」みたいなものならできるだろうけど、そうではなくて論理を組み上げるとか、あるいはこちらの組み立てる論理のおかしさを指摘するとか、提示するルールに対して反例になりそうな際どい例(思考実験)を考えるとか、そういうことができてほしい気がした。